飲食を辞めたいと思ったら?7回辞めて8回転職した料理人が伝えたいこと

この記事を書いた人
出張料理人シェフガッキー
⬛︎東海地方の出張シェフ
TVチャンピオン極 缶詰料理王選手権優勝|月間最高26万PVのレシピブロガー|
🇫🇷ミシュラン現3つ星Clos des sens
🇯🇵西麻布ザ・ジョージアンクラブ|六本木グランドハイアット東京|愛知のビストロ|カフェ|バイキングレストラン|やきとり屋など様々な業態を経験し2016年出張料理人として独立。
・得意な料理はフレンチ・缶詰料理・ジビエ料理・欧州料理
・資格|調理師免許|狩猟免許

"料理人になるには?"
料理人歴20年の現役シェフが
今までの経験をもとに徹底解説

もう飲食辞めたい

そう思いながら、今日も職場に向かっている方は少なくないと思います。
長時間労働、少ない休日、給料、人間関係、将来への不安。

飲食業界で働いていると、料理そのものが嫌になったわけではないのに、
「この働き方をいつまで続けるんだろう」と考えてしまうことがあります。

僕自身、料理人として21年ほど仕事をしてきましたが、決して順風満帆だったわけではありません。
これまでに出張料理人として独立するまでの間の12年間で7回、飲食の仕事を辞め、8回職場を変えています。

上司との関係に悩んで辞めたこともあります。
給料に不満を感じて辞めたこともあります。
夜勤がきつくて働き方が合わずに辞めたこともあります。
そして、精神的に追い込まれて、うつ病になり3ヶ月間休職した経験もあります。

それでも、現在まで料理の仕事を続けています。
だからこの記事では、「飲食を辞めるべき」「飲食を続けるべき」と一方的に結論を出すつもりはありません。

僕自身の経験をもとに、

「辞めたいのは今の職場なのか、それとも飲食そのものなのか」
を考えるための判断材料になればと思います。

目次

飲食を辞めたいと思うのは、珍しいことではない

まず伝えておきたいのは、

「飲食を辞めたいと思っている自分は、根性がない」
と決めつけなくていいということです。
そして、「両親に申し訳ない」気持ちや、「社会的信用を失う」、「みんなに迷惑をかけてしまう」
人生おしまいだ!
なんて考える必要はありません。

たまたまそこの職場が合わなかっただけなことも結構あります。
辞めたいと思う原因としては、
長時間労働、給与、休日、人間関係などが代表的な悩みとして挙げられています。

また、一旦ここで辞めたい気持ちを抑えて考えてほしいことがあります。

「飲食を辞めたい」のか、「今の職場を辞めたい」のか。

この2つは、似ているようでまったく違います。

私は、飲食の仕事は、「料理や接客を通じてお客様に喜んでもらうこと」が、自分のやりがいとなり、モチベーションへつながると思っています。
その気持ちが自分の原動力になるなら、立ち止まり、自分の気持ちを整理してみましょう。

僕は12年間で「7回」飲食を辞めて「8回」職場を変えた

僕自身、料理人歴21年目を迎えます。

19歳の専門学校時代から、愛知や大阪でのアルバイト、フランスでの修業、東京のレストランやホテルなど、さまざまな職場を経験してきました。
そして、これまでに7回、飲食の仕事を辞めています。
つまり、8回職場を変えたことになります。

もちろん、すべてが「自分から辞めた」というわけではありません。
中には、いわゆる連絡もせず、「飛ぶ」経験もあります。
「この職場では続けられない」
と思って自分の心を守るために辞めたこともあります。

シェフとの人間関係が原因で辞めた

小さいお店で、シェフとシェフの奥さん、ぼくとアルバイト合わせて5人ほどの小さなお店で働いていた時のことです。

いままで経験してきたことや、技術、考え方を全て否定されたことがありました。
シェフと言い争いになり、その日を境に、シェフからの当たりがきつくなってきました。
終いには人格否定もされ、精神的におかしくなりました。
病院に行ったらうつ病と診断され、飛びました(辞めました)

そこから3ヶ月休職しました。
この決断をする時は本当に辛かったですが、自分の心を守るために必要な決断でした。

給料に不満を感じて辞めた

最初のレストランの話です。

給料は13万8000円。
まかないが2食つき、生活はできていて、いろいろ学べるレストランだったので不満はありませんでした。
そこは経営不振で2年ほどで閉店してしまいました。
しかし、

カフェで働いていた時の話です。


給料はそこより高く、18万円。
メニュー開発やケータリングなどで労働時間も長く、休みも週一回しかありませんでした。
雇用形態も正社員ではなく、固定給のアルバイトという扱い。
メニュー開発や長時間労働で、売上に貢献していたのも数字として現れていたのですが、全く給料に反映されず、また正社員にもなれずでしたので、辞めました。

給料は大事ですが、給料がただ単に上がればいいという問題ではないというのを身をもって体験しました。

夜の勤務が合わずに辞めた

ホテルで働いていた時の話です。

最初の契約では夜勤はありませんでした。
ランチとディナーの業務のみで、遅番と早番に別れての出勤形態でした。
給料もよく、休みもしっかりあり、ボーナスも福利厚生も整っていました。

しかし、ホテルの売上が低下したタイミングで、人員を減らし、夜間のルームサービスや他の部署も兼務するようになり、夜勤をしなければならなくなりました。
夜勤の次の日は朝食の営業までして、退勤、次の日は休みでした。
しかしこの夜勤をした後は、体内時計が狂っており、休みの日はその体内時計を戻すだけで過ぎていきました。
変な時間に起きて、変な時間に寝て、整えたら出勤という流れがキツすぎて辞めることにしました。

このホテルのように、最初の話とあとから状況が変わり、急に環境が変わることもあります。

「飲食を辞めたい」と思ったとき、まず考えたいこと

僕が辞めてきた理由と背景の一部を書いてきました。
ここからが、この記事で一番伝えたいことです。
「飲食を辞めたい」と思ったら、いきなり退職届を書く前に、一度だけ考えてみてください。

辞めたいのは「今の職場」なのか

例えば、

  • 上司が嫌だ
  • 人間関係がつらい
  • 給料が低い
  • 休日が少ない
  • 勤務時間が合わない
  • 店の経営方針が合わない

という理由なら、問題は「飲食業界」ではなく、今の職場にある可能性があります。
その場合は、職場を変えることで問題が解決するかもしれません。

僕自身、7回飲食の仕事を辞めて8回職場を変えてきましたが、
職場を変えたことで、料理人としても人間としても大きく成長できた職場がたくさんありました。

辞めたいのは「飲食業界」なのか

一方で、

「もう料理をすること自体が嫌になった」
「飲食店で働くことそのものに魅力を感じない」
「土日休みの仕事がしたい」
「この先も飲食業界で働き続ける未来が想像できない」

という場合は、単に職場を変えるだけでは問題が解決しない可能性があります。
その場合は、飲食業界から離れるという選択肢も考えていいと思います。

今の職場を変えることで解決できるなら、転職という選択肢

「飲食は好きだけど、今の店は辞めたい」
という人なら、転職は十分に選択肢になります。

例えば、

人間関係が原因なら

別の店に移ることで、人間関係が大きく変わる可能性があります。
同じ料理人という仕事でも、店によって文化も考え方もまったく違います。


もし、とある人が原因なら、一度中のいい同僚や先輩に相談してみるのもありだと思います。

職場で嫌な人は、他の人も嫌な思いをしている可能性があります。その場合は、その人との接し方を仲のいい人に相談したりして、解決する場合もあります。

給料が原因なら

これまでの経験や役職を踏まえて、条件の違う職場を探してみる。
求人票を見るだけでも、「自分の経験なら、このくらいの条件があるのか」と分かることがあります。

給料面がネックで辞める話をすると、その職場で給料の交渉をしてくれるパターンもあります。退職という武器でベースアップの交渉をするのも一つの手です。

労働時間や休日が原因なら

勤務時間や休日を条件にして求人を探してみる。
今の職場が、あなたの交渉で休日や労働時間を変える可能性は低いと思います。
なので、飲食店を辞めて、ホテル、給食、施設、食品関連企業などに転職するのはアリだと思います。
福利厚生から、休みまでしっかりしている所が多い印象です。
料理人・調理師の経験を活かせる場所はあります。
「飲食=個人経営のレストランや居酒屋だけ」
と考えないことも大切です。

飲食そのものを辞めたいなら、別の仕事を考えてもいい

そして、
「もう飲食自体を辞めたい」
という場合。
それも一つの選択肢です。
料理人を長く続けていると、
「自分には料理しかない」
と思ってしまうことがあります。
でも、実際には料理人として働く中で、さまざまな能力を身につけています。

例えば、

  • 周囲と連携して仕事をする
  • 限られた時間で仕事を終わらせる
  • 複数の仕事を同時に進める
  • お客様の要望をくみ取る
  • 原価や売上を意識する
  • 後輩を指導する
  • 食材や商品の管理をする
  • 衛生管理をする
  • 店舗運営を考える

などです。
もちろん、これらがそのまま別業界の仕事につながるとは限りません。
しかし、

「飲食しかやってこなかった=何もできない」

ではありません。
ここは、ぜひ覚えておいてほしいと思います。

食材の知識があれば、魚や野菜の卸で働くこともできますし、メーカーで働く選択肢もあります。

「辞める」だけが答えではない

僕はこれまで7回飲食の仕事を辞めています。
だからこそ、辞めること自体を悪いことだとは思っていません。
ただ、同時に、
「辞めればすべて解決する」わけでもない
とも思っています。
今の職場が嫌だから辞めた。
でも、次の職場でも同じような人間関係の問題が起きた。
給料が低いから辞めた。
でも、次の職場でも思ったほど給料が上がらなかった。
夜勤が嫌で辞めた。
でも、転職先も状況が変わり夜勤があるようになった。

これでは、同じことを繰り返してしまいます。

だからこそ、

「何が嫌なのか」

を一度言葉にしてみることが大切です。

将来高級フレンチがやりたいから、高級レストランで働いていたけど、実はビストロで働いた方が性に合っていて、ビストロで独立した。
なんて話、結構あります。
本当に、自分には何があっていて、どんな料理、どんな職場で働くのが楽しいのか自問するのも大事です。

飲食を辞める前にやっておきたいこと

1.辞めたい理由を書き出す

まず紙でもスマートフォンでもいいので、
「なぜ飲食を辞めたいのか」を書いてみてください。

例えば、
「給料が低い」だけではなく、

「月○時間くらい働いているのに、今の給料では将来が不安」まで具体的にします。

そうすると、「飲食を辞めたい」のではなく「今より休日が多く、給与条件の良い職場に移りたい」
だったと気づきになります。

2.次の職場で絶対に譲れない条件を決める

例えば、

  • 月○日以上休みたい
  • 夜勤は避けたい
  • 年収○万円以上ほしい
  • 人間関係を重視したい
  • 通勤時間を短くしたい
  • 個人店ではなく企業で働きたい

などです。
全部を満たす必要はありません。
「これだけは譲れない」という条件を3つくらい決めてみると、求人を見るときにも判断しやすくなります。

3.退職する前に求人を見てみる

まだ辞めると決めていなくても構いません。
求人サイトを見てみるだけでもいいと思います。
「今の自分の経験なら、どんな求人があるのか」
「どんな条件の仕事があるのか」
を知っておくだけでも、選択肢が増えます。
転職活動は、退職届を出してから始めなければならないものではありません。

最低賃金が上がると、それを下回る求人は出せなくなります。
最低賃金が上がったタイミングの求人はお店側も給料を上げて求人を出さないと、人が集まらないのを知っているので(求人サイトにそう言われます)、いい条件で出ている場合もあります。

これは、僕がカフェを経営していた時に求人を出した話です。
最低賃金が上がり、最低賃金をギリギリ上回る求人では募集が来ず、最低賃金より高めに設定をします。
他のお店もそれに合わせるようにしているので、今働いているところより給料が上がる可能性は十分にあります。

4.心身が限界なら、転職活動より休むことを優先する

これは僕自身の経験から強く伝えたいことです。
僕はうつ病になり、3ヶ月休職しました。
もし今、

  • 仕事に行くことを考えるだけでつらい
  • 眠れない
  • 食事ができない
  • 常に強い不安がある
  • 仕事中も涙が出る
  • 休日になっても回復しない

など、心身に明らかな変化が出ているのであれば、
「次の仕事を探さなければ」
と焦る前に、休むことを考えてください。

ぼくはこの時、職場から帰る途中の小さな公園のブランコで、毎日揺られ、泣いていることもありました。明らかにやばい精神状態です。

仕事より先に、自分自身を立て直す必要がある場合もあります。

「職場を変える」のか、「飲食から離れる」のか

結論として飲食を辞めたいと思ったときには、大きく3つの選択肢があります。

① 今の職場を辞めて、飲食を続ける

料理は好き。
でも今の職場が合わない。
そんな場合です。

その場合は、飲食で転職をしましょう!

② 飲食業界を離れて、別の仕事に進む

料理そのものではなく、
「働き方を変えたい」
「将来のキャリアを変えたい」
という場合です。

この場合は飲食を辞め、他業種に転職しましょう。

③ 一度立ち止まる

そして、もう一つ。
一度休む。
これも立派な選択肢です。
僕自身が3ヶ月休職したからこそ、これは伝えておきたいと思っています。
「働き続ける」か「辞める」かの二択だけで考えなくてもいい。
一度立ち止まって、自分がどうしたいのか考える時間を作ってもいいのです。

精神的に追い詰められている状態で、まともな選択はできません。
焦らず決断をしなくてもいいと思います。

飲食を辞めたいと思っているあなたへ

僕は7回、飲食の仕事を辞めました。
8回、職場を変えました。
「辞めなければよかった」と思ったことは一度もありません。
(閉店してしまいもっと働きたかったお店はありましたが)

21年間料理人を続けてきた今、振り返って思うのは、
職場を変えることも、飲食から離れることも、立ち止まることも、全部ひとつの選択肢だった。
そして、その選択は人間として大きく成長できたと思います。
だから辞めることは悪いことではないんです。

だから、「飲食を辞めたい」と思っているなら、まずは自分にこう問いかけてみてください。

「僕は飲食を辞めたいのか。それとも、今の働き方を辞めたいのか?」

今の精神状態が正常でなく判断ができないなら、休みましょう。
その答えによって、次に取るべき行動は変わってきます。
「飲食しかやってこなかったから、もう他の仕事には行けない」
と決めつける必要はありません。

これまでやってきた仕事を一度棚卸ししてみる。
それだけでも、見えてくる選択肢は変わってくると思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。

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この記事を書いた人
出張料理人シェフガッキー
⬛︎東海地方の出張シェフ
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🇯🇵西麻布ザ・ジョージアンクラブ|六本木グランドハイアット東京|愛知のビストロ|カフェ|バイキングレストラン|やきとり屋など様々な業態を経験し2016年出張料理人として独立。
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