料理人の転職はどう進める?歴22年・8つの職場を経験した料理人が考える転職先と仕事の選び方

この記事を書いた人
出張料理人シェフガッキー
⬛︎東海地方の出張シェフ
TVチャンピオン極 缶詰料理王選手権優勝|月間最高26万PVのレシピブロガー|
🇫🇷ミシュラン現3つ星Clos des sens
🇯🇵西麻布ザ・ジョージアンクラブ|六本木グランドハイアット東京|愛知のビストロ|カフェ|バイキングレストラン|やきとり屋など様々な業態を経験し2016年出張料理人として独立。
・得意な料理はフレンチ・缶詰料理・ジビエ料理・欧州料理
・資格|調理師免許|狩猟免許

"料理人になるには?"
料理人歴20年の現役シェフが
今までの経験をもとに徹底解説

料理人として働いていると、一度はこんなことを考えるのではないでしょうか。
「今の職場を辞めたい」
「もっと料理を学べる店に行きたい」
「給料を上げたい」
「休みを増やしたい」
「このまま何十年も厨房で働き続けられるのだろうか」

毎日辞めたい辞めたいと思って働いていた時期もありました

僕は、12年現場で働き、出張シェフとして独立し、11年目になります。
修行や研修やアルバイトを含めて8つの職場を経験しています。
もちろん、すべてが順調だったわけではありません。

シェフと合わなくて辞めたこともあります。
精神的につらくなり、3ヶ月ほど休職したこともあります。

給料への不満で辞めたこともあります。
夜勤がつらくて辞めたこともあります。
そして、働いていた店そのものが閉店したこともありました。
一方で、2020年から2025年まではカフェを経営し、オーナーとして正社員やアルバイトの求人を出し、採用面接をする側も経験しました。

「料理人として仕事を探す側」
と
「人を採用する側」
の両方を経験しています。

この記事では、そんな経験をもとに、

  • 料理人の転職にはどんな選択肢があるのか
  • 転職するときに何を考えればいいのか
  • 30代・40代でも転職できるのか
  • 求人を見るときにどこを確認すればいいのか
  • 転職で失敗しないためには何を考えるべきか

について、料理人目線で整理してみます。

目次

料理人の転職「職場を変えたいか・異業種にいきたいか」を整理する

まず最初に整理しておきたいのが、
「飲食を辞めたい」のか「今の職場を辞めたい」のか
という違いです。
これは似ているようで、かなり違います。
たとえば、
「料理は好きだけど、今の店の働き方がきつい」
のであれば、料理人自体を辞める必要はありません。
別の飲食店へ転職することで、環境が変わり、働きやすくなる可能性があります。

一方、

「もう厨房に立ち続けること自体がつらい」
「飲食業界そのものから離れたい」
ということであれば、異業種への転職を考えることになります。
ここを整理しないまま転職すると、次の職場でも同じような不満を抱えてしまう可能性があります。
以前の記事では、「飲食を辞めたい」と感じたときに考えたいことについて、僕自身の経験も交えて書きました。

料理人が転職を考える主な理由

料理人が転職を考える理由は、人によって違います。
僕自身の経験だけでも、

  • 人間関係
  • 給料
  • 勤務時間
  • 夜勤
  • 将来への不安
  • 職場そのものの閉店

ほかにも、辞める・転職する理由は様々で

  • もっと技術を身につけたい
  • 有名店で働きたい
  • 違うジャンルの料理を経験したい
  • 料理長になりたい
  • 土日休みの仕事に移りたい
  • 家族との時間を増やしたい
  • 独立するために経験を積みたい
  • ホテルなど別の業態で働きたい

といった理由もあるでしょう。
大切なのは、「なぜ転職したいのか」を自分で言葉にしておくことです。
ここが曖昧だと、求人を見ても、
「こっちの店のほうが給料が高い」
「こっちは休みが多くて楽そう」
と、目についた条件だけで判断してしまいやすくなります。

独立した時に経歴に有名店で働いたことがあると、その情報だけで、お客様から「おっ」となることがあるので、意外と経歴は大事なんです。

料理人の転職先にはどんな選択肢がある?

「料理人の転職」と聞くと、
「別のレストランや飲食店に移る」
というイメージが強いかもしれません。
しかし、料理人の経験を活かせる場所は、それだけではありません。

飲食店

もっともイメージしやすい転職先です。
同じジャンルの店へ移ることもできますし、これまでとは違うジャンルに挑戦することもできます。
例えば、

  • フレンチ
  • イタリアン
  • 和食
  • 中華
  • 洋食
  • 焼肉
  • ブライダル

など。しかし、現在のジャンルから大きく離れると、全く違う技術が必要になることもあるので、苦戦するかもしれません。
例えば
・フレンチからイタリアン
・和食から天ぷら
・ホテルから結婚式場
など、似ているジャンルからであれば転職したあとも、馴染みやすいです。

最初に就職したお店のオーナーが面接のときに、
「高級店は、安価な食材から高級な食材、全てを取り扱えるけど、大衆なお店は、高級食材を使えない。うちは高級店だから、全てを取り扱えるぞ」と言われたことが印象に残っています。
働くジャンルや、価格帯によって、使う食材が違います。
様々な食材を扱えることは料理人にとって、引き出しが多くなります。
同じジャンルで価格帯が違うお店で働くことは、非常にいい勉強になりました。

ホテル

ホテルの厨房も料理人の転職先の一つです。
ホテルの中には

  • 宴会
  • 婚礼
  • 朝食
  • ビュッフェ
  • 館内レストラン
  • ルームサービス
  • 会員制のバー

など、ホテルならではの仕事があります。
部署の異動もできるホテルであれば、大人数への料理提供や宴会料理など様々な経験できる場合もあります。

街場のレストランからホテルに転職した時にびっくりしたのが、労働時間の厳格さ(笑)8時間労働、休憩もちゃんとある。ちゃんと残業代も出る。
休みに電話がかかってくることはありません!

給食・社員食堂

「料理は続けたいけれど、飲食店とは違う働き方をしたい」
という人が検討する選択肢です。
勤務時間や休日など、飲食店とは異なる条件の求人があります。

もちろん、施設や会社によって勤務条件は違うので、「給食だから必ず楽」と考えるのではなく、
求人票や面接で具体的な勤務条件を確認することが大切です。

食品メーカー・商品開発

料理人としての経験を、商品開発などに活かす道もあります。
自分が厨房で作ってきた料理の経験を、
「商品としてどう作るか」
「大量生産するとどうなるか」
といった別の視点から活かす仕事です。

料理そのものから完全に離れるのではなく、料理の知識を別の形で使うキャリアともいえます。

飲食店へ営業する時に、元料理人でと名乗ると、話を聞いてくれるシェフもいます。料理人目線でプレゼンすると、取引につながる営業の仕方もできると思います。

飲食店以外の仕事

さらに、

  • メニュー開発
  • 食品関連企業
  • 飲食店向けサービス
  • 料理教室
  • メディア
  • フードコーディネート
  • 転職は辞めて独立・開業

など、料理人としての経験を活かせる方向はあります。
実際に現在の料理人向けキャリア情報でも、業界内でのステップアップだけでなく、本部・商品開発、食品メーカー、教育、メディアなど複数のキャリアが紹介されています。

つまり、

「料理人を辞める=料理と完全に縁を切る」なんてことをしなくてもいいと思います。

以前、求人サイトの営業の方や、グルメサイトの方で、元料理人だった方にお会いしたことがあり「1日厨房に立っての仕事は体力的に続かなかったけど、違うところから飲食業に関わりたくてこの仕事につきました」と言われたこともあります。

転職先を選ぶ前に考えたい5つのこと

では、実際に転職するときは何を基準にすればいいのでしょうか。
僕なら、まず次の5つを整理します。

1.今の条件から何を変えたいのか

これが一番大切です。
「転職したい」と思ったら、今の職場の何が嫌なのか?
を書き出してみてください。

給料なのか。
休みなのか。
人間関係なのか。
仕事内容なのか。
勤務時間なのか。
将来性なのか。

逆に、
「今の職場で気に入っていること」
も書いてみるといいでしょう。
意外とここで「他を見てみたら続けてみるのもいいかもと思えるかもしれません」

2.次の職場で何を得たいのか

「今の職場から逃げたい」
だけで転職先を探すと、次の職場選びが難しくなります。
すぐ行動も大事ですが、「戦略的に転職しましょう」

ここで大事なのが、条件面の向上も大事ですが
「次の職場で何を得たいのか」
を考えます。

例えば、極端な話、次の就職先でAとBというお店があったとします。

A 給料は安くて休みは少ないけど、いろいろなことを学べるお店
B 給料は高くて、休みも多いけど、野菜の下処理しかさせてくれないお店(しかもその作業は年々も続く)

給料面で考えれば、今はB店の方がいいかもしれません。
しかし、将来的にみれば、A店で技術を覚えて転職すれば、今後B店よりも早くキャリアをつめる可能性が高まります。
このように何を得たいかが明確であれば、今後の給料が上がり、独立や料理長になるのも早まります。
技術で例えましたが、家族の時間をもっととれる「時間を得たい」という目的ならB店を選ぶ方がいい場合もあります。

「フレンチの技術をもっと磨きたい」

「マネジメントを経験したい」

「土日休みが欲しい」

「年収を上げたい」

「家族との時間を増やしたい」

など。
自分の将来のライフワークバランスを考え、人生に何を重きを置くかで変わってきます。

3.自分は何ができるのか

転職活動では、「何をやりたいか」
だけではなく、「今の自分は何ができるのか」も重要です。

例えば、

  • 調理経験年数
  • 得意ジャンル
  • ポジション
  • 仕込み
  • メニュー開発
  • 原価管理
  • 発注
  • スタッフ教育
  • シフト管理
  • 衛生管理
  • 接客
  • マネジメント

など。

料理人は、自分が普段やっている仕事を「当たり前」と思ってしまいがちです。
しかし、他の職場から見れば、それが経験やスキルになることがあります。
今までやってきたことを一度書き出し、「自分の強みと出来ること」をまとめておきましょう。

30代以降の料理人の転職では、調理技術だけでなく、スタッフ教育や原価管理、メニュー開発などの経験も評価材料として挙げられています。

僕がカフェを経営している時に必ず聞いていた質問に「これまでの経験を活かして、うちでどのようなことができますか?またはしたいですか?」があります。
お店側からは、この人を雇うとどんなメリットがあるのか?を常に考えているので、強みやできることを面接で伝えるのはめちゃくちゃ重要です。

4.何歳まで働くのか

「30代だから遅い」
「40代だから無理」と年齢だけで決めつける必要はありませんが、
年齢によって求められる経験や、選択できる求人が変わることはあります。

僕自身も、転職を考えるなら、

「10年後の自分はどうなっているか?」
「5年後・3年後の自分はどうなっているか?」
をこのタイミングで考えてみることをおすすめします。
今だけではなく、その先の働き方まで考えてみる。
料理人として現場に立ち続けるのか。
料理長を目指すのか。
独立するのか。
料理の知識を別の仕事で活かすのか。
転職は、単に「次の職場を探すこと」ではなく、次の10年を考える機会でもあります。

5.条件を書き出す

最後に、1〜4を踏まえ具体的な条件を書きます。

項目希望
給料月○万円以上
休日月○日以上
勤務時間○時〜○時
夜勤なし
勤務地自宅から○分以内
職種調理・料理長候補など
業態フレンチ・ホテルなど

そして、
絶対に譲れない条件
と
できれば欲しい条件
を分けます。
これだけでも求人を見るときの基準がかなり明確になります。
そして必ず10年後のビジョンも書き出しておきましょう。

30代・40代の料理人は転職できる?

これは僕自身もよく考えてきたことです。
結論を一言で言えば、
年齢だけで判断するのではなく、これまで何を経験してきたのかが大事です。

例えば30代、40代であれば、

「何年料理をやってきたか」
も重要ですが
「その経験を使って何ができるのか」
を説明できるようにしておきたいところです。
例えば、
「10年間、フレンチの厨房にいました」
だけではなく、
「仕込みから営業まで一通り担当し、後輩3人の教育も担当していました」
「原価管理や発注も経験しています」
「婚礼料理で100名規模の仕込みを経験しています」
など。

経験を具体的にすることで、自分のキャリアを相手に伝えやすくなります。

30代、40代はある程度料理や、仕事、社会人としてのマナーがあるという前提でいます。それ以外でどのようなことができるのか。原価計算、メニュー開発からのオペレーション、人材育成。
いまだと、SNSの発信、AIを活用した宣伝などができるのも大きなポイントになるかもしれません。


30代向けの現在の転職情報でも、即戦力性やマネジメント経験、メニュー開発などを自分ができることを具体的に整理することが重要です。

料理人の転職で気をつけたいこと

僕自身、何度も転職してきたからこそ思うことがあります。

それは、
「今の職場が嫌だから」という理由だけですぐ辞めないこと。
です。
もちろん、心身に負担がかかっている場合は、無理を続ける必要はありません。
僕自身も精神的につらくなり、「飛んで」3ヶ月ほど休職した経験があります。
だからこそ、

「とにかく早く辞めたい」
という気持ちになることも理解できます。
ただ、次の職場を探すときには、

「今より良いところ」

ではなく、

「自分が何を大切にして働きたいのか」

まで考えてみてください。
給料が上がっても休みがなくなるかもしれません。
休みが増えても、やりたい料理ができないかもしれません。
有名店に入れても、働き方が自分に合わないかもしれません。
逆に、今までより給料が少し下がっても、長く働ける環境になる可能性もあります。
転職には、いろいろな交換条件があります。
しっかりと目を通し、そのお店に食べに行き、ホームページ、SNS、口コミなどいろいろ確認しておきましょう。

自分の人生何を一番大事にしたいのか。それをもとに職場を選びましょう。

求人を見るときは「条件」以外も見る

求人を見るとき、給与や休日だけを見ていませんか?

僕なら、以下も確認します。

  • 具体的な勤務時間
  • 残業の有無
  • 休日の取り方
  • 厨房の人数
  • 仕事内容
  • ポジション
  • 教育制度
  • 料理長の役割
  • メニュー開発の有無
  • 転勤の有無
  • 昇給・賞与
  • 社会保険などの福利厚生
  • 試用期間

そして、可能なら面接で、
「実際にはどんな一日になるのか?」
を聞いてみます。

求人票だけでは分からないこともあります。
「朝何時に出勤するのか」
「仕込みは何人で行うのか」
「営業終了後は何時ごろ帰るのか」

など、できるだけ具体的に聞いてみる。

転職後のミスマッチを減らすためには、こうした確認が重要です。

オーナーがいないタイミングで、スタッフの人に質問している後輩もいました。求人にのっていることは、実は全て正しいわけではありません。一部だけのことを言っている場合もあります。
週休2日制と完全週休2日制では全く意味合いが違います。
前者は週休2日休が月に1回しかない場合があります。
完全週休2日制は、毎週2日休みがあります。

実際にお店に食べにいったり、雰囲気をみたりするのも大事です。

料理人の転職活動は、まず「自分の棚卸し」から

先ほどもお伝えしましたが、いきなり求人サイトを開くのではなく、僕なら最初に紙へ書き出します。
いうなれば、自分の棚卸しをしましょう。

これまで経験したこと

  • 店舗
  • 業態
  • 料理ジャンル
  • 年数
  • ポジション
  • 担当業務
  • 身につけた技術
  • マネジメント経験
  • メニュー開発経験
  • 原価管理経験

これからやりたいこと

  • 料理を続けたい
  • 料理長を目指したい
  • 新しいジャンルを学びたい
  • 給料を上げたい
  • 休日を増やしたい
  • 夜勤をなくしたい
  • 独立したい
  • 飲食業界から離れたい

ここまで整理してから求人を探します。

そうすると、
「自分が何を求めて転職するのか」

が見えやすくなります。

転職サイトや転職エージェントはどう使う?

ここまで整理したら、転職サイトや転職エージェントを使って求人を探す方法もあります。
転職サービスにはそれぞれ特徴があるため、

「どこが一番いい」と決めつけるのではなく、

自分の希望する職種・勤務地・働き方に合うサービスを比較する

という使い方がいいでしょう。

特に、
「自分の経験がどんな求人で評価されるのか分からない」
という場合は、転職エージェントなどに相談してみる方法もあります。

おすすめとすると強要になってしまうから嫌なんですが、僕は自分で仕事を探す時も、求人を出す時も
「飲食店.com」を使っていました。

有名店やいろいろなジャンルのお店が求人を出していて、僕的には使ってきてよかったと思っています。

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料理人の転職で一番大切なのは「次の職場」だけではない

僕は21年間、料理人として働いてきました。
8つの職場を経験しました。
今の自分がここまで成長できたのも、今まで働いてきたお店があってだと思っています。

そして、自分自身が店を経営して、今度は人を採用する側にもなりました。

だから今になって思うのは、
転職は「今の職場から逃げるため」ではなく、「自分のライフワークバランスを考え、それをブラッシュアップする機会」ということです。

自分がこれから、
どんな料理人になりたいのか。
どんな働き方をしたいのか。
どんな生活をしたいのか。
それを考えるための一つのきっかけでもあります。

料理人として働き続ける道もあります。
別の業態へ移る道もあります。
料理長を目指す道もあります。
ホテルや給食、社員食堂などへ移る道もあります。
食品メーカーや商品開発など、料理人の経験を別の仕事に活かす道もあります。

そして、独立する道もあります。

大切なのは、
「視野を広げて考えること」です。
自分の経験をどこで、どう活かすのか。
そこから考えてみてもいいのではないでしょうか。

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